今年の生き方のテーマ*新時代と日本のこころ・・・「恩」
 
 私たちの先祖達が日本人を教育するときに、一番大事にした言葉は「恩」という言葉でした。父の恩・母の恩・神様の恩など数多くあります。では、恩とは何かと申しますと、「心の原因について考えること」です。そして、心の原因の中で、「心」とは何かと言いますと、それは「命」のことです。私たちは、今生きています。その命の原因、つまり、何の力によって生きているのか。何のお陰によって生きていられるのかを、日本人は2000年以上も前から非常に大事にしてきたのです。何の力によって生きているのか。古代、その一番目は太陽だと考えました。太陽がないと、この地球もあっという間に氷の星になってしまいます。全ての生命が死滅してしまうかも知れません。ですから、私たちの民族は感覚的に「太陽があるから生きている」ということを自覚し、命の原因、つまり恩の第一に太陽を挙げたのです。素晴らしい感性です。他の国にも太陽神の例は2、3ありますが、そのことを国名にまでしたのは日本人だけです。日の本(ひのもと)です。私たちの生命の元はお日様で、体を動かすエネルギーの元はすべて太陽であるという意味が日の本という言葉です。1400年前・西暦600年代に「の」が消えて、日本という国名になります。国名の意味を知っておくこと、しみじみと考えて見ることは大切なことです。また、私たちは、こんな素晴らしい国名であるのに、外国に行って自己紹介をする時に、単に「タナカです」と言って、「日本人のタナカです」とは言いません。国名を言い忘れてはいけません。もっと大事にすることです。また、JAPANでは国名の意味が分からなくなります。国名は日本人としてのバックボーンであり、自分にとっての背骨です。頭がいい人・財を築いた人でもバックボーンの無い人は後で潰れていきます。ですから、人間の価値は、自分が充実していくこと、自己完成だということを教えておくことが必要です。
 
 熊本ゆかりのラフカデイオ・ハーンも、その国の民情・哲学・人間学、すなわち、「どういう考えで生きているか」を調べるために来日したのですが、出雲の国、島根県の松江に行きました。すると、村の人たちが早朝から集まって、全員が太陽の方を向いて合掌して、太陽さんありがとうございます。今日も一日よろしくお願いします。と言って拝んでいるのを目にしたのです。こんな素晴らしい国は見たことも無いといって、小泉八雲という日本人になって永住したのです。
 
 また、日本人は農耕民族ですから、狩猟民族と生き方が違います。狩猟民族は行動が早くなければ、獲物が手に入りません。狩人ですから、先に獲った者が勝ちです。ところが、農耕民族は、早いと駄目なのです。ゆっくり落ち着いて時期を見ることなのです。時期を間違ったら駄目なのです。ですから、昔の人「落ち着け、落ち着け」と言って子供を教育しました。今のお母さんの「早くしなさい。早く・・・」は駄目なのです。農耕している人がどんなに頑張っていても、一つ嵐がくれば、農作物は全滅です。すべて、自然まかせです。ですから、今日一日の為に生きて行くというのが、農耕民族の生き方です。また、「いい加減」が日本人の哲学です。加はプラス、減はマイナスですから、ちょうどいいところで生きていくのです。「いい加減にしろ」です。今は「いい加減じゃだめだよ」となっています。
 
 最後に、西洋の神(ゴッド)は絶対者ですが、日本の神は、絶対者ではなく、神を「日身(カミ)」と書きました。カの元は「カカ」。その前は「カアカア」。その前は「カッカッ」で、それらは古代語では、「太陽が燃えている様子を表した擬態語」です。つまり、「太陽のからだ」が日身だったのです。私たち一人一人が太陽のからだで、太陽のエネルギーを受けた日の身なのです。ですから、ひとり天にまします絶対神ではないのです。
 
 母親も「カカ」さまです。おをつけて「おかみさん」と呼んでもいます。食事を用意して生かしてくれる太陽です。父親は「トト」さまです。お父さんですが、トは「尊い」という意味です。
 
 また、私たちは人と出会ったときに、「今日は・・」は言いますが、こんにちはは、今と日と書きます。今は「素晴らしい」で、日は「太陽」ですから、「素晴らしい太陽さん」という呼びかけです。元気の元は「もと」、気は「はたらき」ですから、「お元気ですか?」は「太陽と一緒になって生きていますか」と言う意味です。
 
 日本人は、このように太陽と共に生きていくことのありがたさが「恩」であり、おかげさまでという「恩を感じて生きていくこと大切なのだ」と、日本人は子孫に教えてきたのです。忘れないようにしたいものです。

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